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ハードウェアインザループ シミュレーションの基礎

ハードウェアインザループ (HIL) シミュレーションは、リアルタイム シミュレーションの一種です。HIL シミュレーションを使用して、コントローラーの設計をテストします。HIL シミュレーションでは、現実的な仮想スティミュラスに対してコントローラーがリアルタイムでどのように応答するかがわかります。また、HIL を使用して、物理システムのモデル (プラント モデル) が有効かどうかを判断することもできます。

HIL シミュレーションでは、リアルタイム コンピューターを、プラント モデルの仮想表現として、またコントローラーの現実のバージョンとして使用します。次の図は、標準的な HIL シミュレーションのセットアップを示します。デスクトップ コンピューター (開発用ハードウェア) には、コントローラーとプラントのリアルタイム対応モデルがあります。また、開発用ハードウェアには、プラントへの仮想入力を制御するインターフェイスもあります。コントローラー ハードウェアには、コントローラー モデルから生成されたコントローラー ソフトウェアがあります。リアルタイム プロセッサ (ターゲット ハードウェア) には、プラント モデルから生成された物理システムのコードがあります。

ハードウェアインザループ シミュレーションを使用するタイミング

HIL シミュレーションを使用して、モデルベース デザイン (MBD) を行う際にコントローラーの設計をテストします。次の図は、MBD の設計から実現までのワークフローで HIL シミュレーションが該当する箇所を示します。

検証では、実際のプラント ハードウェアを使用して、現実の状況や、代用となる環境 (圧力チャンバーなど) でコントローラーをテストします。HIL シミュレーションでは、物理システム (プラント) に実際のハードウェアを使用する必要はありません。また、自然あるいは環境を模したテスト セットアップに頼る必要もありません。モデルによってプラントを表すことで、HIL シミュレーションはコストと実用性におけるメリットを提供します。

HIL シミュレーションは、検証テストと比較して、さまざまな面でコストの節約になります。設計変更では、HIL シミュレーションの方が安価になる傾向があります。MBD ワークフローで、HIL シミュレーションを検証より早い段階で実行すれば、プロジェクトの比較的早い段階で問題を特定して再設計することができます。問題の早期発見には次のようなメリットがあります。

  • チームに変更が承認されやすい。

  • 設計変更の実装費用が少なくなる。

スケジュールの観点からは、HIL シミュレーションは独立して実行するようにセットアップできるため、検証と比較して安価で、より実用的です。

HIL シミュレーションは、異常事態へのコントローラーの応答をテストする場合に、検証より実用的です。たとえば、地震やブリザードなどの極端な気象条件をモデル化できます。また、深海や深宇宙など、アクセスできない環境で発生するスティミュラスにコントローラーがどのように応答するかもテストできます。

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