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熱単位の変換

アフィン単位について

熱単位では、多くの場合アフィン変換 (乗算と加算の両方による変換) が必要となります。元の値 Told を新しい値 Tnew に変換するには、線形変換係数 L とオフセット O が必要です。

Tnew = L * Told + O

たとえば、摂氏温度から華氏温度に変換する場合、線形項は 9/5 で、オフセットは 32 です。

TFahr = 9 / 5 * TCels + 32

Simscape™ 単位マネージャーでは、ケルビン (K) が基礎的な温度単位として定義されています。摂氏温度 (degC) と華氏温度 (degF) はアフィン変換によってケルビンに関連付けられるため、これらはアフィン単位となります。ランキン温度 (degR) は線形オフセットなしでケルビンにより定義されるため、アフィン単位ではありません。

温度単位に対する既定の Simscape 単位レジストリでの定義は以下のとおりです。

pm_adddimension('temperature', 'K');        % defines kelvin as fundamental temperature unit
pm_addunit('degC', [1 273.15], 'K');        % defines Celsius in terms of kelvin
pm_addunit('degF', [5/9 -32*5/9], 'degC');  % defines Fahrenheit in terms of Celsius
pm_addunit('degR', [5/9 0], 'K');           % defines rankine in terms of kelvin

アフィン変換を適用する場合

アフィン単位を扱う際に、線形項のみを使用する変換が必要になることがあります。通常、これに該当するのは、変換する値が絶対温度ではなく相対温度 ΔT = T1 – T2 を表す場合です。

ΔTnew = L * ΔTold

この場合、アフィン オフセットを追加すると変換結果が不正確になります。

たとえば、屋外気温が華氏で 18°上昇し、この値をモデルに入力する必要があるとします。この値をケルビンに変換するには、次の線形変換を使用します。

ΔTkelvin = 5 / 9 * ΔTFahr

結果は 10 K となり、つまり、屋外気温は 10 ケルビン変化しています。アフィン変換を適用すると、気温の変化は約 265 ケルビンとなりますが、これは誤りです。

これは、入力単位として摂氏温度を使用する場合を考えるとさらにわかりやすくなります。摂氏温度とケルビンの間の変換に使用する線形項は 1 となるためです。

  • 屋外気温が摂氏で 10° "変化した" 場合 (相対温度値)、10 ケルビン変化したことになります (アフィン変換は適用しません)。

  • 屋外気温が摂氏 10° "である" 場合 (絶対温度値)、これは 283 ケルビンに相当します (アフィン変換を適用します)。

相対温度については、相対温度単位 deltaKdeltadegCdeltadegF および deltadegR も使用できます。これらの単位は Simulink® 単位データベースと一貫性があります (Simulink の単位を参照してください)。これらの単位を使用する場合、アフィン変換は適用されません。

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