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ドライブ パラメーターの調整

この節では、電気駆動システムのパラメーターを変更するために必要な情報について説明します。この方法では、例として AC3 ドライブ モデルを使用しています。この例では、モーターの定格出力を 200hp から 5hp に変更します。次の順序で、完全な手順について説明しています。

モーターのパラメーターの変更

  1. ac3_example.mdl の例を開きます (MATLAB コマンド ウィンドウで ac3_example と入力します)。200 hp モーター用に設定されたパラメーターが表示されます。

  2. アクセラレータ モードでモデルをシミュレーションし、結果を観察します。

  3. Field-Oriented Control Induction Motor Drive ブロックをダブルクリックし、Asynchronous Machine タブを選択し、次の図に表示された 5 hp モーターのパラメーターをドライブのマスクにコピーします。

    新しいモーターのパラメーターを入力

磁束制御器のパラメーターの調整

この節では、最初に磁束制御器のパラメーターを調整します。満足な応答が得られるまで、パラメーターを実験的に調整します。制御器のパラメーターを調整する際に最も重要なことは、これら 2 つの制御器の基準信号と変数を可視化することです。

  1. 磁束制御器の信号を測定するには、次の図に示されたブロックを Demux サブシステムに追加します。

    ブロックを追加して磁束制御器の信号を測定

  2. Field-oriented Control Induction Motor Drive ブロックのマスクの [Controller] タブを選択し、[Regulation type][Torque regulation] に設定してコントローラーのパラメーターにアクセスします。

    速度制御器のパラメーターをバイパスして、FOC コントローラーに直接作用させるには、トルク制御モードを使用する必要があります。

    FOC コントローラーにより制御される電流は、モーターの磁束に依存することに注意してください。磁束コントローラーにより、必要な磁束がモーターに正しく適用されることが保証されます。

  3. 磁束の周波数を制限しないようにするには、[Lowpass filter cutoff frequency] を 10 kHz に設定します。最も高い磁束の周波数はスイッチング周波数に依存します。

    さらに [Flux output limits][標準] 定格磁束の 150% に、[Proportional gain] を 1 に、[Integral gain] を 0 に、[hysteresis band] を 1 に、[Machine flux] を 0.705 にそれぞれ設定します。最後の値は、次のように算出されています。

    磁束制御器のパラメーターの設定

  4. モーターに定格トルクを適用するには、次の図に示されたようにトルク指令値と Load torque ブロックを変更します。

    トルク制御モードの指令値

  5. Scope ブロックの [sampling decimation] を 1 に、[Variable name]simout1 に設定し、[Save data to workspace] パラメーターをオンにして [Structure with time format] 形式を指定します。

    スコープ パラメーターを設定

  6. システムを 0.5 秒間シミュレーションしてから、powergui ブロックを開き、[FFT analysis] をクリックします。

    [Input] リストの Stator current 信号を選択し、[Start time] に 0.23 を、[Number of cycle] に 1 を、[Fundamental frequency] に 7.5 を、[Max Frequency (Hz)] に 20 000 Hz をそれぞれ指定します。

    [Display] ボタンをクリックして、次の図に示された FFT グラフを表示します。

  7. スイッチング周波数が約 5 kHz になることを観察します。この周波数を減衰するには、磁束コントローラーの [Lowpass filter cutoff frequency] パラメーターを 500 Hz に設定します。

  8. Scope ブロックを開き、磁束信号を観察します。定常偏差が高く、時間応答があまりよくないことに注意してください。

  9. 満足な応答が得られるまで、コントローラーの [Proportional gain] パラメーター値を徐々に大きくしてシミュレーションします。特定の値よりもゲインを大きくすると、磁束コントローラーが飽和することがあります。次の図の曲線は、比例ゲイン 100 で得られたものです。

  10. 偏差が少なく、満足な定常状態結果が得られるまで、[Integral gain] を徐々に大きくしてシミュレーションします。次のプロットは、積分ゲイン 90 で得られたものです。

    磁束制御器:Ki の調整

速度制御器のパラメーターの調整

この節では、速度制御器のパラメーターを調整します。満足な応答が得られるまで、制御器のパラメーターを実験的に調整します。

  1. Field-oriented Control Induction Motor Drive ブロックのマスクの [Controller] タブを選択し、[Regulation type][Speed regulation] に設定してコントローラーのパラメーターを編集します。

    [Torque output limits] を定格トルクの 150% に、[Proportional gain] を 1 に、[Integral gain] を 0 に、[Speed cutoff frequency] を 500 にそれぞれ設定します。

    最も高い速度周波数もスイッチング周波数に依存するため、磁束制御器の [Lowpass filter cutoff frequency] と同じ値を使用します。

    トルク出力制限を超えないように、モーターの加速度を算出しなければなりません。モーターを 1750rpm/s で加速するために必要なトルクは、次のように算出します。

  2. モーターに定格トルクを適用するには、次の図に示されたように速度指令値と負荷トルクを変更します。

    速度制御モードの指令値

  3. メモリに過負荷をかけないようにするには、スコープの間引きを 25 に設定します。シミュレーションを開始します。

    Scope ブロックの速度信号を観察します。定常偏差が高く、時間応答があまり良好ではありません。

    時間応答が悪い

  4. オーバーシュートがなく満足な応答が得られるまで、コントローラーの [Proportional gain] パラメーターを徐々に大きくしてシミュレーションします。ゲインが大きすぎる場合は、システムが振動することに注意してください。次のプロットは、比例ゲイン 3 で得られたものです。

    速度制御器: Kp の調整

  5. 定常偏差が少なく、満足な定常状態結果が得られるまで、[Integral gain] を徐々に大きくしてシミュレーションします。次の図の曲線は、積分ゲイン 100 で得られたものです。

    速度制御器: Ki の調整

  6. 次の図に最終的なドライブの制御器のパラメーターを示します。

    制御器のパラメーター

DC 母線電圧のパラメーターの調整

  1. Field-oriented Control Induction Motor Drive ブロックのマスクの [Converter and DC bus] タブを選択し、DC 母線のコンデンサとブレーキ チョッパー回路のパラメーターを調整します。

  2. [DC Bus Capacitance] パラメーターを 167e-6 に設定します。

    DC 母線の静電容量は、電圧リップルを低減するために、次のように算出します。

    ここで、

    • Pmotor はモーター ドライブの定格電力 (W) です。

    • f は AC 電源の周波数 (Hz) です。

    • ΔV は目的の電圧リップル (V) です。

    • VDC は平均 DC 母線電圧 (V) です。

    この方程式から、特定の電圧リップル レベルに必要なコンデンサの概算値が得られます。この場合の目的の電圧リップルは 50V です。

    5 hp (3728W) のモーター ドライブは、60Hz の三相電源から供給されます。平均 DC 母線電圧は、次のように表されます。VDC = 1.35 VLL、ここで VLL は、電源の線間電圧の実効値を表します。電源の線間電圧は 460Vrms であるため、DC 電圧は次のように表されます。VDC = 621V

    したがって、必要なコンデンサは次のようになります。

  3. [Braking chopper] の [Shutdown voltage] を 660V に、[Braking chopper] の [Activation voltage] を 700V に設定します。

    モーター モードでの DC 母線のピーク電圧は次のようになります。

    ブレーキ チョッパー回路のシャットダウン電圧 (Vshut) は、この値よりも少し高くするべきです。回生ブレーキ中の電圧を制限するために、シャットダウン電圧は 660V に、起動電圧 (Vact) は 700V に設定されています。

  4. ブレーキ チョッパー回路の [Resistance] を 131Ω に設定します。

    ブレーキ チョッパー回路の抵抗は、次の式で算出されます。

  5. 次の図に最終的な DC 母線のパラメーターを示します。

    DC 母線のパラメーター

シミュレーションと結果の解析

次の図にシミュレーションの全体結果を示しています。

シミュレーション結果

結果は、次の 6 つの主要セクションから構成されています。

  1. 無負荷状態の加速

  2. 定格負荷トルクの適用

  3. 定常状態の速度

  4. 定格生成トルクの適用: DC 母線電圧のオーバーシュートの観察

  5. 減速

  6. 負の加速

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