SimPowerSystems

STATCOM (詳細モデル)

この例では、+100 Mvar/-100 Mvar 48 パルス形 GTO STATCOM の動作を示します。

P. Giroux ; G. Sybille (Hydro-Quebec)

説明

100 Mvar STATCOM は、3 つの母線を使用する 500 kV のシステムの電圧を制御します。48 パルス形 STATCOM は、4 つの 12 パルス形 3 レベル GTO インバーターで作成される電圧源コンバーター (VSC) を使用しています。STATCOM ブロック内で、VSC インバーターの構造を確認してください。4 つの 3 レベル インバーターの出力で得られる 4 組の三相電圧が、4 つの移相変圧器 (それぞれ -15°、-7.5°、7.5°、+7.5°の位相シフト) の二次巻線に適用されます。変圧器の 500 kV 側で得られる電圧の基本成分が、一次巻線のシリアル接続により同相で追加されます。VSC の動作の詳細は、"power_48pulsegtoconverter" の例を参照してください。

STATCOM 制御システムは、定常状態の動作中は VSC 電圧の基本成分がシステム電圧と同相となるよう制御します。VSC により生成された電圧がシステム電圧より高い (または低い) 場合、STATCOM は無効電力を生成 (または吸収) します。無効電力の量は、VSC 電圧の大きさと、変圧器の漏れリアクタンスによって異なります。VSC 電圧の基本成分は、DC 母線の電圧を変化させることによって制御します。DC 電圧を変化させ、それにより無効電力を変化させるため、通常は 0 付近に保たれている VSC 電圧位相角 (α) が一時的に位相シフトされます。この VSC 電圧の遅れまたは進みにより有効電力が一時的に流れ、コンデンサ電圧の上昇または下降につながります。

500 kV システムの等価回路で使用される 3 つの電圧源の 1 つを変化させて、システム電圧の変動に対する STATCOM の動的応答を観察できます。[Programmable Voltage Source] メニューを開き、プログラムされた一連の電圧ステップを確認してください。

シミュレーション

STATCOM の動的応答

シミュレーションを実行し、STATCOM サブシステムの Scope ブロックで波形を観察します。STATCOM は電圧制御モードで、基準電圧は Vref = 1.0 pu に設定されています。制御器の電圧降下は 0.03 pu/100 VA です。したがって、STATCOM の操作点が完全な容量性 (+100 Mvar) から完全な誘導性 (-100 Mvar) に変化するとき、STATCOM の電圧は 1-0.03 = 0.97 pu と 1+0.03 = 1.03 pu の間で変化します。

はじめに、プログラム可能な電圧源は 1.0491 pu に設定されています。その結果、STATCOM が動作していないときに、SVC の端子では電圧が 1.0 pu になります。基準電圧 Vref が 1.0pu に設定されているので、はじめの STATCOM はフローティング状態 (浮遊化状態でゼロ電流) です。t=0.1 秒において、DC 電圧は 19.3 kV です。電圧は 0.955pu まで急激に 4.5 % 減少します。SVC は電圧を 0.979 pu に維持するために、無効電力 (Q=+70 Mvar) を生成して応答します。95% の整定時間は、およそ 47 ms です。この時点で、DC 電圧は 20.4 kV まで増加しています。次に、t=0.2 秒において、電源電圧は定格値の 1.045 pu まで増加します。SVC は電圧を 1.021 pu に維持するために、操作点を容量性から誘導性へと変更して応答します。この時点で、STATCOM は72 Mvar を吸収し、DC 電圧は 18.2 kV まで低下しています。STATCOM の一次電圧と電流を示す上図の 1 つ目の波形で、電流がおよそ 1 サイクルで、容量性から誘導性まで変化していることが観測されます。最終的に、t=0.3 秒において、電圧はその基準値 (1pu) に戻り、STATCOM の動作点が 0Mvar に戻ります。

"Signals and Scopes" サブシステムの内部では、他の制御信号にアクセスすることができます。無効電力を変化させるため DC 電圧を増減させると、α 角が一時的に変化することに注意してください。α の定常状態値 (0.5°) は、変圧器とコンバーターの損失を補償する少量の有効電力を維持するために必要な位相シフトです。

初期条件の再生成方法

定常状態でこの例を開始するのに必要な初期状態は "power_statcom_gto48p.mat" ファイルに保存されています。この例を開くと、InitFcn コールバック ([Model Properties]、[Callbacks] 内) によってこの .mat ファイルの内容 ("xInitial" 変数) がワークスペースに自動的に読み込まれます。

このモデルを変更するか、電力成分のパラメーター値を変更すると、変数 "xInitial" に保存された初期条件は無効になり、Simulink によりエラー メッセージが表示されます。変更したモデルの初期条件を再生成するには、以下に示した手順に従います。

  1. [シミュレーション]、[コンフィギュレーション パラメーター]、[データ インポー/エクスポート パラメーター] メニューで、[初期状態] パラメーターをオフにし、[最終状態] パラメーターをオンにします。

  2. [Programmable Voltage Source] メニューで [Time variation of] パラメーターを [none] に設定して、電源の電圧ステップを無効にします。

  3. シミュレーション終了時間が 0.4 秒であることを確認します。60 Hz 電圧源位相角と位相のそろった初期条件を生成するには、終了時間は 60 Hz サイクルの整数でなければなりません。

  4. シミュレーションを開始します。シミュレーションが完了した後、スコープに表示された波形を見て、定常状態に達したことを確認します。最終状態は、時間と共に "xFinal" 構造体に保存され、次回のシミュレーションの初期状態として使用できます。次の 2 つのコマンドを実行すると、これら最終状態が "xInitial" にコピーされ、この変数が新しいファイル (myModel_init.mat) に保存されます。 * >> xInitial=xFinal; * >> save myModel_init xInitial

  5. [File]、[Model Properties]、[Callbacks]、[InitFcn] ウィンドウで、初期化ファイルの名前を "power_statcom_gto48p.mat" から "myModel_init.mat" に変更します。次回、このモデルを開くと、myModel_init.mat ファイルに保存された変数 xInitial がワークスペースに読み込まれます。

  6. [シミュレーション]、[コンフィギュレーション パラメーター] メニューで、[初期状態] をオンにします。

  7. シミュレーションを開始し、モデルが定常状態で開始したことを確認します。

  8. [Programmable Voltage Source] メニューで [Time variation of] パラメーターの設定を [Amplitude] に戻します。

  9. モデルを保存します。