DC モーター モデル
この例では、パルス幅変調信号を近似する定数入力信号で駆動される DC モーターをモデル化し、モーター出力時の電流と回転運動を確認します。
この例で作成するモデルの完成したバージョンを表示するには、PWM 制御の DC モーターの例を開きます。
システム コンポーネントを表すブロックの選択
入力信号、DC モーター、およびモーター出力表示を表すブロックを選択します。
次の表は、システム コンポーネントを表すブロックの役割を説明しています。
ブロック | 説明 |
---|---|
Solver Configuration | すべての物理モデリング ブロックに適用されるソルバー設定を定義します。 |
PS-Simulink Converter | 入力物理量信号を Simulink® 信号に変換します。 |
Controlled PWM Voltage | パルス幅変調モーター入力信号を近似する信号を生成します。 |
H-Bridge | DC モーターを駆動します。 |
DC Motor | 入力電気エネルギーを機械的運動に変換します。 |
Current Sensor | モーターを駆動する電流を、電流に比例する測定可能な物理量信号に変換します。 |
DC Voltage Source | DC 電圧を生成します。 |
Electrical Reference | 電気接地を提供します。 |
Mechanical Rotational Reference | 機械的接地を提供します。 |
Ideal Rotational Motion Sensor | モーターの回転運動を、運動に比例する測定可能な物理量信号に変換します。 |
Scope | モーターの電流と回転運動を表示します。 |
モデルの作成
新しいモデルを作成します。
この表のブロックを追加します。[ライブラリ パス] 列は、各ブロックへの階層パスを指定します。
ブロック
ライブラリ
数
Solver Configuration [Simscape] 、 [Utilities]
1
PS-Simulink Converter [Simscape] 、 [Utilities]
2
Controlled PWM Voltage [Simscape] 、 [Electrical] 、 [Integrated Circuits]
1
H-Bridge [Simscape] 、 [Electrical] 、 [Semiconductors & Converters] 、 [Converters]
1
DC Motor [Simscape] 、 [Electrical] 、 [Electromechanical] 、 [Brushed Motors]
1
Current Sensor [Simscape] 、 [Foundation Library] 、 [Electrical] 、 [Electrical Sensors]
1
DC Voltage Source [Simscape] 、 [Foundation Library] 、 [Electrical] 、 [Electrical Sources]
1
Electrical Reference [Simscape] 、 [Foundation Library] 、 [Electrical] 、 [Electrical Elements]
1
Mechanical Rotational Reference [Simscape] 、 [Foundation Library] 、 [Mechanical] 、 [Rotational Elements]
1
Ideal Rotational Motion Sensor [Simscape] 、 [Foundation Library] 、 [Mechanical] 、 [Mechanical Sensors]
1
Scope [Simulink] 、 [Commonly Used Blocks]
2
メモ
Simscape™ 関数
ssc_new
をドメイン タイプelectrical
で使用して、これらのブロックを含む Simscape モデルを作成できます。Simulink-PS Converter
PS-Simulink Converter
Scope
Solver Configuration
Electrical Reference
次のブロック線図に示すようにブロックの名前を変更して接続します。
これで、ブロック パラメーターを指定する準備ができました。
モデル パラメーターの指定
次のパラメーターを指定して、システム コンポーネントの動作を表します。
モデル セットアップ パラメーター
次のブロックは、特定のブロックに固有でないモデル情報を指定します。
Solver Configuration
Electrical Reference
Mechanical Rotational Reference
Simscape モデルの場合と同様に、トポロジ的に区別可能な物理ネットワークごとに Solver Configuration ブロックを含めなければなりません。この例には単一の物理ネットワークがあるため、既定のパラメーター値をもつ Solver Configuration ブロックを 1 つ使用します。
各 Simscape Electrical™ ネットワークに Electrical Reference ブロックを含めなければなりません。電気機械ブロックが含まれる各ネットワークに、Mechanical Rotational Reference ブロックを含めなければなりません。これらのブロックにパラメーターはありません。
Reference ブロックの使い方についての詳細は、グラウンディングのルールを参照してください。
モーター入力信号のパラメーター
次のブロックを使用してモーターの入力信号を生成します。
DC Voltage Source ブロック (PWM reference voltage) は定数信号を生成する。
Controlled PWM Voltage ブロックはパルス幅変調信号を生成する。
H-Bridge ブロックはモーターを駆動する。
この例では、PWM 端子を除く H-Bridge ブロックのすべての入力端子が接地接続されています。その結果、H-Bridge ブロックは次のように動作します。
モーターがオンの場合、H-Bridge ブロックはモーター端子を電源に接続する。
モーターがオフの場合、H-Bridge ブロックは、モーターの電流を維持するフリーホイーリング ダイオードとして機能する。
この例では、値が PWM 信号の平均値である定電流をもつモーターをシミュレートします。このタイプの信号を使用することで、モーターの動作を推定する高速のシミュレーションをセットアップします。
DC Voltage Source ブロックで、[定電圧] パラメーターを
2.5
V
に設定します。Controlled PWM Voltage ブロックのパラメーターを設定します。
PWM 周波数 —
4000
Hz
シミュレーション モード —
Averaged
この値は、ブロックに対し、値が PWM 信号の平均値となる出力信号を生成するように指定します。平均化された信号をもつモーターをシミュレートすることで、PWM 信号の存在下におけるモーターの動作が推定されます。この近似を検証するには、このパラメーターの
PWM
値を使用します。
H-Bridge ブロックで、[シミュレーション モード] パラメーターを
[平均]
に設定します。この値は、ブロックに対し、値が PWM 信号の平均値となる出力信号を生成するように指定します。平均化された信号をもつモーターをシミュレートすることで、PWM 信号の存在下におけるモーターの動作が推定されます。この近似を検証するには、このパラメーターの
PWM
値を使用します。
メモ
Controlled PWM Voltage ブロックと H-Bridge ブロックの両方のシミュレーション モードは同じでなければなりません。
モーター パラメーター
モーターをモデル化するブロックを構成します。
DC Motor ブロックのパラメーターを設定します。ただし、該当する場合は単位設定を既定値のままにします。
電気トルク セクション:
モデルのパラメーター化 —
By rated load and speed
電機子のインダクタンス —
0.01
H
無負荷速度 —
4000
rpm
定格速度 (定格負荷時) —
2500
rpm
定格負荷 (機械動力) —
10
W
定格 DC 電源電圧 —
12
V
機械 セクション:
回転子の慣性 —
0.0002
kg*m^2
回転子の減衰 —
0.5e-5
N*m/(rad/s)
電流表示パラメーター
モーターの電流表示を作成するブロックのパラメーターを指定します。
Current Sensor ブロック
PS-Simulink Converter1 ブロック
電流スコープ
3 つのブロックのうち、PS-Simulink Converter1 ブロックのみにパラメーターがあります。PS-Simulink Converter1 ブロックの [出力信号単位] パラメーターを A
に設定し、ブロックの入力信号をアンペア単位に指定します。
トルク表示パラメーター
モーター トルクの表示を作成するブロックのパラメーターを指定します。
Ideal Rotational Motion Sensor ブロック
PS-Simulink Converter ブロック
RPM スコープ
3 つのブロックのうち、この例で構成する必要があるパラメーターをもつのは PS-Simulink Converter ブロックのみです。PS-Simulink Converter ブロックの [出力信号単位] パラメーターを rpm
に設定し、ブロックの入力信号を 1 分あたりの回転数単位に指定します。
メモ
このパラメーター値は入力しなければなりません。ドロップダウン リストには表示されません。
ソルバー パラメーターの構成
連続時間ソルバーを使用するようにソルバー パラメーターを構成します。Simscape Electrical モデルは、Solver Configuration ブロックの [ローカル ソルバー] パラメーターをクリアすると、連続時間ソルバーでのみ実行されます。[コンフィギュレーション パラメーター] ダイアログ ボックスを使用して、シミュレーションの終了時間を変更し、相対許容誤差を小さくしてシミュレーションの精度を向上させ、Simulink が保存するシミュレーションのデータ点の数に関する制限を取り除きます。
モデル ウィンドウで、[モデル化] 、 [モデル設定] を選択して [コンフィギュレーション パラメーター] ダイアログ ボックスを開きます。
左側のペインで、[ソルバー] をクリックします。
[終了時間] を
10
に設定します。[ソルバー] を
[ode15s (stiff/NDF)]
に設定します。[最大ステップ サイズ] を
1
に設定します。[相対許容誤差] を
1e-3
に設定します。
[OK] をクリックします。
ソルバー パラメーターの構成方法の詳細については、エレクトロニクス システム、メカトロニクス システム、または電力システムのシミュレーションを参照してください。
シミュレーションの実行と結果の解析
シミュレーションを実行し、結果をプロットします。モデル ウィンドウで、[シミュレーション] 、 [実行] を選択します。
モーターの電流とトルクを表示するには、Scope ブロックをダブルクリックします。これは、シミュレーションの実行前または実行後に行うことができます。
メモ
既定では、スコープ表示は画面上に重ねて提示されるため、そのうちの 1 つしか見えません。ウィンドウをクリックしてドラッグし、位置を変更してください。
次の図はモーターの電流を示しています。
次の図はモーターの rpm を示しています。
予想どおり、適用される DC 電圧が 2.5 V の場合、モーターは約 2000 RPM で稼働します。
参考
Controlled PWM Voltage | DC Motor | H-Bridge