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Image Processing Toolbox での DICOM サポート

Digital Imaging and Communications in Medicine (DICOM) は、極めて標準化されたイメージ形式であり、さまざまなデバイスおよびネットワークで医用画像ファイルを保管したり、送信したりするために使用されます。DICOM 形式は、イメージ データに、患者、撮像方法、空間参照情報を記述するメタデータを組み合わせたものです。DICOM ファイルの構造、保管、送信は、公式の DICOM Web サイトで提供されている DICOM 標準に従って制御されています。この標準では、コンピューター断層撮影 (CT)、磁気共鳴映像法 (MRI)、放射線療法 (RT) などのモダリティや用途について個別に Information Object Definition (IOD) が定義されています。

Representative DICOM file showing image data and subset of metadata attributes

MATLAB® は、DICOM ファイルの読み取りと書き込みに加えて、DICOM イメージ データおよびメタデータの操作もサポートしています。ツールボックス関数を使用してイメージ データを抽出し、処理することができ、メタデータ属性の検索や更新を行うことも可能です。MATLAB は、ほとんどの DICOM IOD に対応しているので、特定の IOD の新規 DICOM ファイルを DICOM 標準に完全に準拠する形で書き込むことができます。さらに、Medical Imaging Toolbox™ には、DICOM ファイルの高度な処理を行うためのツールが用意されています。開始するには、Import and Spatial Referencing (Medical Imaging Toolbox)を参照してください。

メモ

MATLAB は、DICOM ファイルの操作をサポートしています。DICOM ネットワーク機能の操作のサポートはありません。

DICOM イメージ データの読み取りと表示

複数の DICOM 系列をもつディレクトリを DICOM ブラウザー アプリ、または関数 dicomCollection を使用して探索します。DICOM 系列から、関数 dicomread を使用して 2 次元イメージ データを読み取るか、関数 dicomreadVolume を使用して 3 次元イメージ データを読み取ります。詳細については、DICOM ファイルからのイメージ データの読み取りを参照してください。インポートした DICOM イメージは、imshow および volshow などのツールボックス表示関数を使用して表示できます。

DICOM ファイルから読み取ったイメージ データは、イメージ フィルター処理、レジストレーション、セグメンテーション、ラベル付けなどの演算を使用して処理できます。医用画像データでセグメンテーションや領域プロパティの計算を行う方法の例については、3 次元胸部スキャンからの肺のセグメント化を参照してください。

DICOM メタデータの操作

関数 dicominfo を使用して、DICOM メタデータをインポートします。この関数は、ファイル内の各メタデータ属性の名前と値を指定する MATLAB 構造体を作成します。詳細については、DICOM ファイルからのメタデータの読み取りを参照してください。

関数 dicomdisp を使用して、メタデータ構造体のすべての属性をコマンド ウィンドウに一覧表示します。または、関数 dicomfind を使用して、特定の属性を名前で検索します。関数 dicomupdate を使用して、特定の属性の値を更新します。または、関数 dicomanon を使用して、すべての個人識別情報を DICOM メタデータ構造体から削除します。DICOM ファイルを匿名化する方法の例については、DICOM ファイルからの機密情報の削除を参照してください。

DICOM ファイルを処理するときに、MATLAB は標準 DICOM メタデータ属性が定義されているデータ ディクショナリ ファイルを使用します。関数 dicomdict を使用して、現在のデータ ディクショナリ ファイルの表示や更新を行えます。また、関数 dicomlookup を使用して、データ ディクショナリ内の特定の属性を検索できます。

新しい DICOM ファイルの書き込み

関数 dicomwrite を使用して、イメージとメタデータを新しい DICOM ファイルに書き込みます。ツールボックスは、コンピューター断層撮影、磁気共鳴、セカンダリ キャプチャ (モダリティに依存しないオブジェクト定義) の IOD を検証して書き込みます。これにより、DICOM 標準で必須とされるメタデータ属性がすべて新しいファイルに含まれるようになります。詳細については、DICOM ファイルへのイメージ データの書き込み新しい DICOM 系列の作成を参照してください。

DICOM-RT 輪郭データの操作

DICOM-RT 構造体セットは、放射線療法の用途専用の IOD です。DICOM-RT メタデータには、放射線療法の計画で使用された、腫瘍や器官などの ROI の輪郭データが含まれます。ROI 輪郭データを抽出して、dicomContours オブジェクトを作成できます。

関数 plotContouraddContourdeleteContour、および convertToInfo を使用して、輪郭のプロット、輪郭の追加または削除、新規 DICOM-RT メタデータ構造体の作成を行います。例については、Add and Modify ROIs of DICOM-RT Contour Dataを参照してください。

オブジェクト関数 createMask を使用して、輪郭データをバイナリ マスクに変換します (たとえば、ROI をイメージ データに重ね合わせて表示する、イメージ ピクセルにラベルを付ける、など)。例については、Create and Display 3-D Mask of DICOM-RT Contour Dataを参照してください。

深層学習ワークフロー用の DICOM ファイルの準備

医用画像データを使用して深層学習ネットワークに学習をさせ、イメージのノイズ除去、セグメンテーション、レジストレーションなどのタスクを実行することができます。深層学習ネットワークの学習には、DICOM ファイルを含む imageDatastore オブジェクトまたは pixelLabelDatastore (Computer Vision Toolbox) オブジェクトを使用できます。詳細については、DICOM イメージを含むイメージ データストアの作成単一ファイルおよび複数ファイルの DICOM ボリュームを含むイメージ データストアの作成を参照してください。イメージ データストアを使用して深層学習ネットワークに学習をさせる方法については、イメージの深層学習向け前処理を参照してください。

以下の例は、医用画像分析における深層学習の応用を説明しています。

ヒント

  • dicomFile (Medical Imaging Toolbox) オブジェクト、medicalVolume (Medical Imaging Toolbox) オブジェクト、medicalImage (Medical Imaging Toolbox) オブジェクト、および関連する関数を使用して、DICOM ファイルの高度な処理を行うことができます。

参考

アプリ

関数

オブジェクト

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