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適応フィルター処理による時間遅延チャネルの推定

この例では、LMS 適応 FIR アルゴリズムを使用して、ノイズを含む入力信号の時間遅延を適応的に推定する方法を示します。

信号 $s[n] = a[n]+w[n]$ を想定します。ここで、$w[n]$ はホワイト ガウス過程、$a[n]$ は確定的です。信号は $M$ 個のサンプルおよび減衰 $\alpha$ (どちらも未知) のエコーにより測定され、測定全体は次のようになります。

$$ x[n] = s[n] + \alpha s[n-M] $$

目標は、遅延 $M$ およびエコーの減衰 $\alpha$ を推定することです。これらのパラメーターは、前の $h[n] = \delta[n]+\alpha s[n-M]$ と併せて、フィルター識別問題 $x = h*s$$h$ について解くことで求めることができます。測定信号 $x$ および元の信号 $s$ からフィルター $h$ を識別できた場合、$\alpha$ および $M$ を導出できます。

このようなフィルター識別問題は LTI 適応フィルター処理を使用して設定できます。基準信号は $d[n] = x[n]$、入力フィードは $s[n]$、適応フィルターは $w$ です。明らかに、適応プロセスが $w\to h$ で完了すると、誤差信号 $x - w*s = (h-w)*x$ はゼロになります。

適応フィルター処理には多数のアルゴリズムがあります。この特定の問題の設定と信号モデルには正規化された LMS アルゴリズムが適しており、これは LMS Filter ブロックで利用できます。

シミュレーションを実行します。フィルターのタップのベクトルのピークは、時間遅延の推定値を示します。この場合、$M=8$ および $\alpha = \frac{1}{2}$ になります。

詳細については、S. Haykin, Adaptive Filter Theory, 3rd Ed., Prentice-Hall 1996 を参照してください。

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