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行列、ベクトル、およびスカラー

Simulink® は行列信号、1 次元配列、サンプルベース処理、およびフレームベース処理をサポートしています。この節では、Communications Toolbox™ がある種の行列と信号を処理する方法について説明します。

本ドキュメンテーションでは、修飾しない用語、"スカラー" と "ベクトル" を、厳密な次元プロパティとしてではなく、信号の要素数を強調する方法として使用します。

  • "スカラー" 信号には 1 つの要素が含まれます。この信号は、1 つの要素をもつ 1 次元配列の場合も、サイズが 1 行 1 列の行列の場合もあります。

  • "ベクトル" 信号には、直列配列の 1 つ以上の要素が含まれます。この信号は、1 次元の配列の場合も、1 列のみをもつ行列の場合も、1 行のみをもつ行列の場合もあります。ベクトルに含まれる要素の数は、"長さ" と呼ばれますが、"幅" と呼ばれる場合もあります。

説明または図で、異なるタイプのスカラー信号または異なるタイプのベクトル信号を区別することが重要な場合、このドキュメンテーションでは区別を明示的に示します。たとえば、"1 次元配列"、"列ベクトル" および "行ベクトル" という用語は、3 つのタイプのベクトル信号を区別しています。

行列の "サイズ" は、行列に含まれる行と列の数を示す 2 つの数値です。2 次元ベクトルの "方向" は、行ベクトルまたは列ベクトルとしてのステータスです。1 次元配列には方向がないため、方向性をもたないベクトルと呼ばれることがあります。

複数の行と列をもつ行列信号は、"非スパース行列" 信号と呼ばれます。

処理規則

次の規則は、Communications Toolbox のブロックがスカラー信号、ベクトル信号、行列信号を処理する方法を示します。

  • 数値計算では、スカラーを処理するブロックは 1 次元スカラーと 1 行 1 列の行列を区別しません。ブロックがスカラー入力からスカラー出力を生成する場合、ブロックは次元を維持します。

  • ベクトル入力信号では

    • 数値計算では 1 次元配列と M 行 1 列の行列を区別しません。

    • ほとんどのブロックが行ベクトルを処理しません。またマルチチャネル機能をサポートしません。

    • ブロックの出力では次元と方向は維持されます。

    • ブロックは入力ベクトルの要素を、ブロックの演算の結果生じるコレクション (たとえば、コードワードを表すシンボル集合のコレクション)、または 1 つの時系列からの連続したサンプルとして扱います。

  • ほとんどのブロックが、2 行 2 列以上の行列信号を処理しません。この信号を処理するブロックでは、N 行 M 列の行列の形態の信号は、M チャネルからの N 個の連続したサンプルを表します。入力信号の各要素または各列がチャネルかどうかは、ブロックの [Input processing] パラメーターで決定されます。

  • ベースバンド デジタル変調のブロックなどの特定のブロックでは、スカラー入力信号の各値に対して複数の出力値を生成できます。出力信号のレートを増加させる、つまり出力信号のサイズを増加させることにより追加のサンプルを出力するかどうかは、ブロックの [Rate options] パラメーターで決定されます。

  • 連続時間信号を処理するブロックは、フレームベース入力を処理しません。そのようなブロックには、アナログ位相同期回路のブロックが含まれます。

どのブロックがスカラー信号、ベクトル信号、または行列を処理するかについては、各ブロックの個々のヘルプ ページを参照してください。