Main Content

Integrate and Dump

ゼロへの定期リセットを行う離散時間信号の積分

ライブラリ

Comm Filters

  • Integrate and Dump block

説明

Integrate and Dump ブロックは、固定されたスケジュールに従って合計をゼロにリセットしながら、離散時間入力信号の累積和を作成します。このブロックは、シミュレーションの開始時に、[Offset] パラメーターに指定された数のサンプルを破棄します。この初期期間の後に、ブロックは、入力信号の列に従って累積和を計算し、入力サンプル N 個ごとにゼロへのリセットを実行します。ただし、N は [Integration period] パラメーターの値です。リセットが行われるのは、そのタイム ステップでブロックが出力を生成した後です。

システムの送信側がシンプルな矩形パルス モデルを使用する場合に、受信側のモデルは、積算と破棄の操作をしばしば使用します。この処理は、CDMA (code division multiple access) アプリケーションなどの光ファイバーやスペクトル拡散通信システムでも使用されます。

このブロックは、スカラー、列ベクトル、または行列の入力信号を受け入れます。入力信号がスカラー値でない場合は、k・N (k は正の整数) の行を含んでいなければなりません。こうした入力信号に対してブロックは、各列を個別に処理します。

[Output intermediate values] を選択すると、内容、次元およびサンプル時間に次のような影響を及ぼします。

  • このチェック ボックスをオフにすると、ブロックは累積和をリセット時間ごとに出力します。

    • 入力がスカラー値の場合、出力サンプル時間は入力サンプル時間の N 倍となり、出力サンプル期間 1 つ分の遅延がブロックで発生します。この場合、出力の次元は入力の次元に一致します。

    • 入力が (k・N) 行 n 列の行列の場合、出力は k 行 n 列の行列となります。この場合、ブロックに遅延は生じず、出力期間は入力期間に一致します。

  • このチェック ボックスをオンにすると、ブロックは累積和を各タイム ステップごとに出力します。サンプル時間および配列の次元は、出力と入力とで一致します。

過渡状態と遅延

[Offset] パラメーターが非ゼロ値の場合、入力サンプルを廃棄する初期期間で、ブロックはいくつかのゼロを出力します。入力が n 列の行列で [Offset] パラメーターが長さ n のベクトルの場合、[Offset] ベクトルの m 番目の要素はデータの m 番目の列に対するオフセットとなります。[Offset] がスカラーの場合、ブロックはデータの各列に対して同じオフセット値を適用します。非ゼロの [Offset] 値に起因した最初のゼロの出力は、過渡的な影響であって、永続的な遅延ではありません。

[Output intermediate values] をオフにすると、シミュレーション全体においてブロックの出力は入力に対し遅延することになります。

  • 入力がスカラー値の場合、すべての過渡的な影響の終了後、出力は 1 サンプル分遅延します。そのため、入力と出力の過渡部を取り除いた後では、第 m 番目の積算期間の結果は、m+1 でインデックス付けされる出力サンプルになります。

  • 入力が列ベクトルまたは行列であり [Offset] パラメーターが非ゼロの場合、過渡的な影響の終了後に個々の積算期間の結果が得られるのは、当該積算期間の "最終" の入力サンプルに対応した出力フレームとなります。これは、当該積算期間の最初の入力サンプルに対応した出力フレームよりもフレーム 1 つ分遅延することになり、この場合、積算期間は 2 つの入力フレームにまたがることになります。この状況の例は、過渡状態と遅延の例を参照してください。

パラメーター

Integration period

リセットの間隔となる入力サンプルの数です。

Offset

シミュレーション開始時に入力データの各列で破棄させる入力サンプル数を指定する非ゼロの整数ベクトルまたはスカラーです。

Output intermediate values

リセットとリセットとの間に中間的な累積和をブロックに出力させるかどうかを指定します。

固定小数点信号の流れ図

固定小数点の属性

次のパラメーター設定は、ブロックへの入力が固定小数点の信号の場合のみ適用されます。

Rounding mode

このパラメーターを使用すると、結果を格納するスケーリングおよびデータ型で示される数値が完全にマッピングされない場合に用いられる、固定小数点演算の結果の丸め方法を指定できます。

詳細については、丸めモードまたは丸めモード: 最も簡潔 (Fixed-Point Designer)を参照してください。

整数オーバーフローで飽和

固定小数点計算の大きさの結果が結果を格納するデータ型とスケーリングの範囲に収まらない場合は、このパラメーターで使用する手法を指定します。

  • [Saturate]は、正のオーバーフローを使用する範囲内の最大の正の数値として表し、負のオーバーフローを使用する範囲内の最大の負の数値として表します。

  • [Wrap] は剰余演算を使用して、オーバーフローをそのデータ型の表現可能な範囲内にキャストします。詳細については、モジュロ演算 (Fixed-Point Designer)を参照してください。

Accumulator—Mode

[Accumulator—Mode] パラメーターを使用して、アキュムレータの語長と小数部の長さの特定方法を指定します。

  • [Inherit via internal rule] を選択すると、アキュムレータの語長と小数部の長さをブロックが自動的に計算します。

  • [入力と同じ] を選択すると、これらの特性はブロックへの入力の特性と一致します。

  • [Binary point scaling] を選択すると、アキュムレータの語長と小数部の長さをビット単位で入力できます。

  • [Slope and bias scaling] を選択すると、語長 (ビット単位) とアキュムレータの勾配を入力できます。

出力

[Output] パラメーターを使用して、ブロック出力の語長と小数部の長さを指定します。

  • [Same as accumulator] を選択すると、これらの特性はアキュムレータの特性と一致します。

  • [入力と同じ] を選択すると、これらの特性はブロックへの入力の特性と一致します。

  • [Binary point scaling] を選択すると、出力の語長と小数部の長さをビット数で入力できます。

  • [Slope and bias scaling] を選択すると、出力の語長 (ビット数) および勾配を入力できます。

固定小数点アプリケーション関連のパラメーターの詳細については、ブロックの固定小数点属性の指定を参照してください。

サポートされているデータ型

端子サポートされているデータ型
In
  • 倍精度浮動小数点

  • 単精度浮動小数点

  • 固定小数点

Out
  • 倍精度浮動小数点

  • 単精度浮動小数点

  • 固定小数点

次の表は、[Integration period]4[Offset] がスカラーの 3 の場合に、いくつかの状況においてランプ (1234...) の先頭部をブロックがどのように扱うかを、次の表に示します (表中の値は、単に数値を示すだけのもので、ベクトルのサイズは反映していません)。

[Output intermediate values] チェック ボックス入力信号のプロパティ出力値の先頭部分
オフ スカラー 004+5+6+7、および 8+9+10+11。ここで 1 つの 0 は最初の過渡状態の値で、もう 1 つの 0 はチェック ボックスのオフとスカラー値の入力に起因する遅延の値です。
オフ 長さ 4 の列ベクトル 04+5+6+7、および 8+9+10+11。ここで 0 は、非ゼロのオフセットに起因した最初の遅延の値です。出力はスカラー値です。
オン スカラー 00044+54+5+64+5+6+788+98+9+108+9+10+11、および 12。ここで 3 つの 0 は最初の過渡状態の値です。
オン 長さ 4 の列ベクトル 00044+54+5+64+5+6+788+98+9+108+9+10+11、および 12。ここで 3 つの 0 は最初の過渡状態の値です。出力は、長さ 4 の列ベクトルです。

いずれの場合も、ブロックは最初の 3 つの入力サンプル (12、および 3) を破棄します。

過渡状態と遅延の例

次の図は、ブロックによる 3 つの出力サンプルに対する過渡の影響および、残りのシミュレーションにおける後続の出力サンプルで、1 サンプル分の遅延が生じる状況を説明します。この図はまた、入力と出力の値が列ベクトルとされる様子も示します。図中の各ベクトルでは、個々の積算期間の最終サンプルは下線で、破棄される入力サンプルは白色で、出力における過渡のゼロは白色で示します。

過渡状態の影響が継続するのは、ceil(13/5) 出力サンプルです。それは、ブロックが破棄する入力サンプルが 13 で、積算期間が 5 であるためです。過渡期間終了後の最初の出力サンプルである 8014+15+16+17+18 の和であり、これが出力されるタイミングは入力サンプル 18 に対応します。その次の最初の出力サンプルである 10519+20+21+22+23 の和であり、これが出力されるタイミングは入力サンプル 23 に対応します。入力サンプル 23 の属するフレームは入力サンプル 19 のものより 1 つ後というように、この 5 サンプルの積算期間が 2 つの入力フレームにまたがっている点に注意してください。その結果として、105 の出力は、その和の要素である最初の入力 (19) に対して遅延しています。

拡張機能

C/C++ コード生成
Simulink® Coder™ を使用して C および C++ コードを生成します。

バージョン履歴

R2006a より前に導入