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doppler

ドップラー スペクトル構造体の構築

説明

s = doppler(specType) は、フェージング チャネル System object で使用する specType タイプのドップラー スペクトル構造体を構築します。返される構造体 s には、依存フィールドの既定値があります。

s = doppler(specType, fieldValue) は、フェージング チャネル System object で使用する specType タイプのドップラー スペクトル構造体を構築します。返される構造体 s には、fieldValue に指定される依存フィールドがあります。

s = doppler('BiGaussian', Name,Value) は、フェージング チャネル System object で使用する二重ガウス ドップラー スペクトル構造体を構築します。返される構造体 s には、Name,Value のペア引数で指定される依存フィールドがあります。

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フラット型ドップラー構造体変数を構築して、comm.RayleighChannel などのチャネル オブジェクトで使用します。

関数 doppler を呼び出して、フラット型ドップラー構造体変数を作成します。

s = doppler('Flat')
s = struct with fields:
    SpectrumType: 'Flat'

関数 doppler を使用して、ベル型スペクトルをもつドップラー構造体変数を作成します。

s = doppler('Bell')
s = struct with fields:
    SpectrumType: 'Bell'
     Coefficient: 9

ドップラー スペクトル構造体変数の係数を指定します。

係数 a0a2 および a4 をそれぞれ 26 および 1 に設定して、ラウンド型ドップラー スペクトル構造体を構築します。

s = doppler('Rounded', [2, 6, 1])
s = struct with fields:
    SpectrumType: 'Rounded'
      Polynomial: [2 6 1]

関数 doppler を使用して、二重ガウス スペクトルにパラメーターを指定したドップラー スペクトル構造体を作成します。

s = doppler('BiGaussian','NormalizedCenterFrequencies', ...
    [.1 .85],'PowerGains',[1 2])
s = struct with fields:
                    SpectrumType: 'BiGaussian'
    NormalizedStandardDeviations: [0.7071 0.7071]
     NormalizedCenterFrequencies: [0.1000 0.8500]
                      PowerGains: [1 2]

NormalizedStandardDeviations フィールドは既定値に設定されます。NormalizedCenterFrequencies および PowerGains のフィールドは、入力引数から指定される値に設定されます。

入力引数

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フェージング チャネル System object で使用するドップラー スペクトル構造体のスペクトル タイプ。この値を文字ベクトルとして指定します。

各ドップラー スペクトル タイプの解析的表現については、アルゴリズム節で説明されています。

データ型: char

ドップラー スペクトル構造体の依存フィールドの値。組み込みデータ型のスカラーまたはベクトルとして指定されます。fieldValue を指定しない場合、スペクトル タイプの依存フィールドでは既定値が使用されます。

スペクトル タイプ依存フィールド説明既定値
Jakes
フラット
ラウンドPolynomial有限な実数値の 1 行 3 列ベクトル。多項式係数、a0, a2 および a4 を表します。[1 -1.72 0.785]
ベルCoefficientベル型スペクトル係数を表す、非負の有限の実数スカラー9
非対称 JakesNormalizedFrequencyInterval–1 ~ 1 の実数値で構成される 1 行 2 列のベクトル。正規化された最小および最大ドップラー シフトを表します。[0 1]
制限 JakesNormalizedFrequencyInterval正規化された最小および最大ドップラー シフトを表す、0 ~ 1 の実数値で構成される 1 行 2 列のベクトル。[0 1]
ガウスNormalizedStandardDeviation正の有限の実数スカラーで指定される、ガウス ドップラー スペクトルの正規化された標準偏差0.7071
二重ガウスNormalizedStandardDeviations二重ガウス ドップラー スペクトルの正規化された標準偏差。正の有限の実数からなる 1 行 2 列のベクトルで指定[0.7071 0.7071]
NormalizedCenterFreqencies二重ガウス ドップラー スペクトルの正規化された中心周波数。要素が –1 から 1 の間となる実数の 1 行 2 列のベクトルで指定[0 0]
PowerGains二重ガウス ドップラー スペクトルの線形パワー ゲイン。実数かつ非負の 1 行 2 列のベクトルで指定[0.5 0.5]

データ型: double

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで、Name は引数名で、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。

R2021a より前では、コンマを使用して名前と値をそれぞれ区切り、Name を引用符で囲みます。

例: s=doppler('BiGaussian', 'NormalizedStandardDeviations', [.8 .75], 'NormalizedCenterFrequencies', [-.8 0], 'PowerGains', [.6 .6])

最初と 2 番目のガウス関数の正規化された標準偏差。この値は、組み込みデータ型の 1 行 2 列の正の数値ベクトルとして指定できます。

この依存フィールドを指定しない場合、既定値は [1/sqrt(2) 1/sqrt(2)] です。

データ型: double

最初と 2 番目のガウス関数の正規化された中心周波数。この値は、組み込みデータ型の -1 ~ 1 の実数値で構成される 1 行 2 列の数値ベクトルとして指定できます。

この依存フィールドを指定しない場合、既定値は [0 0] です。

データ型: double

最初と 2 番目のガウス関数の電力ゲイン。この値は、組み込みデータ型の 1 行 2 列の非負の数値ベクトルとして指定できます。

この依存フィールドを指定しない場合、既定値は [0.5 0.5] です。

データ型: double

アルゴリズム

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以下のアルゴリズムは、各ドップラー スペクトル タイプの解析的表現を表します。それぞれについて、fd は、関連するフェージング チャネル System object の最大ドップラー シフト (MaximumDopplerShift プロパティ) を意味します。

Jakes

理論上の Jakes ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

S(f)=1πfd1(f/fd)2, |f|fd

フラット

理論上の Flat ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

S(f)=12fd|f|fd

ラウンド

理論上の Rounded ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

S(f)=Cr[a0+a2(ffd)2+a4(ffd)4]|f|fd

ここで、

Cr=12fd[a0+a23+a45]

であり、依存フィールド polynomial で [a0, a2, a4] を指定できます。

ベル

理論上の Bell ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

S(f)=Cb1+A(ffd)2

|f|fd

ここで、

Cb=Aπfd

であり、依存フィールド coefficient で A を指定できます。

非対称 Jakes

理論上の Asymmetric Jakes ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

S(f)=Aaπfd1(f/fd)2,  fdfminffmaxfdAa=11π[sin1(fmaxfd)sin1(fminfd)]

ここで、fmin/fd およびfmax /fd であり、依存フィールドで NormalizedFrequencyInterval を指定できます。

制限 Jakes

理論上の Restricted Jakes ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

S(f)=Arπfd1(f/fd)2, 0fmin|f|fmaxfd

ここで

Ar=12π[sin1(fmaxfd)sin1(fminfd)]

であり、fmin/ fd および fmax /fd を依存フィールド NormalizedFrequencyInterval で指定できます。

ガウス

理論上の Gaussian ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

SG(f)=12πσG2exp(f22σG2)

依存フィールド NormalizedStandardDeviationσG/fd を指定できます。

二重ガウス

理論上の BiGaussian ドップラー スペクトル S(f) の解析式は次になります。

SG(f)=AG[CG12πσG12exp((ffG1)22σG12)+CG22πσG22exp((ffG2)22σG22)]

ここで、AG=1CG1+CG2 は正規化係数です。

NormalizedStandardDeviations 依存フィールドで σG1/fd および σG2/fd を指定できます。

NormalizedCenterFrequencies 依存フィールドで fG1/fd および fG2/fd を指定できます。

CG1 および CG2 は、PowerGains 依存フィールドで指定できる電力ゲインです。

拡張機能

バージョン履歴

R2007a で導入