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DVB-S.2 リンク (Simulink での LDPC 符号化を含む)

このモデルでは、第 2 世代のデジタル ビデオ放送規格 (DVB-S.2) で使用され、DIRECTV が合衆国で展開している最先端のチャネル符号化方式を示します。符号化方式は、LDPC (低密度パリティ検査) 符号と BCH 符号の連結に基づいています。Gallager が独創性に富んだ博士論文で 1960 年に考案した LDPC 符号では、低複雑性反復復号化アルゴリズムを使用することによって、チャネル容量に近い非常に低いエラー レートを実現できます。外部の BCH 符号は、LDPC 復号化器によって生成される散発的な誤りを訂正するのに使用されます。

DVB-S.2 のチャネル符号は同じ伝送条件の DVB-S で著しく容量を増大させ、伝送モードに応じてシャノン限界から約 0.7 dB ~ 1 dB で疑似エラーフリーの動作 (パケット エラー レート 10^ -7 以下) を可能にします。

この例では、DVB-S.2 規格に準じて、BCH 符号化器、LDPC 符号化器、インターリーバー、変調器に加えて、受信機でのこれらの等価物をモデル化します。

例の構造

この例の通信システムには以下のタスクが含まれています。

  • ランダム ソースによる BBFRAME の生成

  • BCH の符号化、すべての符号化パラメーターと通常の FECFRAME の場合

  • LDPC 符号化、すべての符号化パラメーターと通常の FECFRAME の場合

  • インターリーブ

  • 変調 (QPSK、8PSK、16APSK、または 32APSK)

  • AWGN チャネルのモデル化

  • 軟判定復調

  • デインターリーブ

  • LDPC の復号化、メッセージ伝播アルゴリズムを使用

  • BCH の復号化

  • BBFRAME のバッファー解除

modelname =  'commdvbs2' ;
open_system(modelname);
RX = [modelname '/RX Constellation']; % Define Simulink object as a variable
set_param(RX,'openScopeAtSimStart','off' ); % Set Simulink scope visibility parameter
T = evalc('sim(modelname)');

さらに、このモデルには、パケット エラー レート、LDPC ビット エラー レートおよび推定した Es/No を測定および表示するためのブロックが用意されています。また、受信した信号を表示する散布図スコープもあり、信号のチャネル歪みの可視化をサポートします。

簡略化と前提条件

モデルを簡略化するために、この例では以下とします。

  • 送信機と受信機の間の完全な同期を前提とします。

  • 完全な衛星チャネルではなく、AWGN チャネルの複素数ベースバンド モデルを使用します。

  • ベルヌーイ バイナリ ランダム ソースを使用して BBFRAME で BBHEADER と DATA FIELD をモデル化します。ベースバンド スクランブルは実行しません。

  • 通常の FECFRAME のみをサポートします (つまり、LDPC 符号のブロック長は 64800)。

  • 1 つの時間単位で 1 つの LDPC コードワードを Simulink® で処理します。

  • 軟判定復調時に受信した信号に最も近いコンスタレーション内の 2 点のみを考慮して LDPC 復号化のチャネル出力の対数尤度比を概算します。

  • 受信した信号から Es/No を見積もるのではなく、LDPC の復号化のためにユーザーが提供する Es/No を使用します。

また、この例では、DVB-S.2 規格の次の内容についてはモデル化しません。

  • 短い FECFRAME

  • 物理レイヤー (PL) のフレーム化

  • PL の信号化とパイロットの挿入

  • PL スクランブラー

  • ベースバンド (BB) フィルターと直交変調

モデルのパラメーター

Model Parameters ブロックをダブルクリックすると、モデルの以下のパラメーターをユーザーが設定できます。

結果と表示

モデルを開始すると、ウィンドウが自動的に開き、受信信号の散布図が表示されます。LDPC ビット エラー レート、パケット エラー レート、および受信した信号から推定した Es/No は、継続的に更新されます。

% Set scope visibility for next display and run simulation
set_param(RX,'openScopeAtSimStart','on');
sim(modelname);

LDPC 符号の電力は、次の既定の設定を使用して、簡単に観察できます。QPSK、率 1/2、Es/No = 1 dB、復号化における反復 50 回。このように低い Es/No を使用しても、LDPC 復号化器でエラーが発生することはほとんどありません。散布図にはチャネルにどの程度のノイズが含まれているのかが鮮明に示されています。

Es/No が 0.5 dB になっている場合など Es/No がわずかに減少していると、LDPC ビット エラー レートは非常に高くなります。これは、LDPC 符号の一般的な急勾配の性能曲線と一致します。

% Cleanup
%
% To clear the variables set above and close without saving the changes to
% the model, type the following commands into the MATLAB(R) command prompt.
%

close_system(modelname,0);

参考文献

[1] DVB-S.2 Standard Specification, ETSI EN 302 307 V1.1.1 (2005-03).

[2] R. G. Gallager, Low-Density Parity-Check Codes, IRE Transactions on Information Theory, Vol. 8, No. 1, January 1962, pp. 21-28.

[3] W. E. Ryan, An introduction to LDPC codes, in Coding and Signal Processing for Magnetic Recoding Systems (Bane Vasic, ed.), CRC Press, 2004.