YarCom 社: MATLABプロダクトファミリを使用し、国防省の無線受信状態を改善

「今までは電波の干渉源を特定するのに何週間もかかっていた。MATLAB によって、ノイズや干渉の特定とその解決を何時間かで行うことができる。」

課題

軍事通信システムからのノイズやその他干渉の特定および除去

ソリューション

MATLAB および関連ツールを使用して、自動データ収集、解析、警告システムを設計

結果

  • データ計測自動化による年単位から月単位の作業量の減少
  • 重要なフィールドデータ収集の自動化
  • 何千ドルもの展開コスト削減

Lott プロット

司令官と最前線の兵士の間の、障害のない無線通信は戦場での作戦の成功に不可欠なものです。通信技師は兵士が必要な連絡や命令を受ける障害になる、ノイズやその他干渉の除去に努力しています。

YarCom 社は RF エンジニアリングを専門とするエンジニアリングサービス企業であり、国防省のクライアントに対して、ノイズ干渉の発生元と場所を特定する新しい技術を実現しています。彼らは米軍の高度な通信網へのノイズや干渉の影響を、MATLAB® を使用して定量化しています。

“ノイズや干渉の被害に遭った受信機がターゲット信号を聞くことができなかったら、作戦は不成功に終わる”と、 YarCom 社の代表技術者 Dr. Gus Lott 氏は説明します。 “MATLAB プロダクトファミリは微細なノイズや変化する干渉を測定し、特定する助けになるため、作戦に深刻な影響を及ぼす前に問題を軽減することができます。”

課題

コストの抑制のため、YarCom 社はデータ収集と解析の方法を改善する必要がありました。手作業による方法は5人から8人のエンジニアや技師が大きな20ケースもの機材を持ち、2週間かけて複数の場所を訪れるというものでした。

このプロセスをより効率化するため、YarCom は迅速な script development が可能な計測、計測機器の制御、計算の為の環境と job のカスタマイゼーションが最少のコードの書き換えで行うことができるテストが必要でした。

YarCom は複数のメーカーのハードウェアデバイスで動作する、遠隔地で無線機の受信状態をモニタし、エンジニアに状態の変化を警告するシステムの開発を模索していました。これを実現するには、RF 機器の制御、データ収集と解析、Web 経由での結果の表示が必要でした。

離れた場所で機器を制御するためには、シリアルポートを遠隔地にある GPS レシーバに接続する必要があります。これによって、移動プラットフォームで展開された際に計測システムが同期をとることが可能になります。明瞭な受信を得るには、周波数帯を網羅する際に複数のアンテナ、フィルタやアンプの使用の切り替えが必要になります。

ソリューション

MATLAB プロダクトファミリと共に、YarComは多様なハードウェアデバイスを使用して連続的なモニタリングと中長期間のノイズ干渉の検出を行いました。これによって少数のチームが、問題が検知された際にのみ受信機のサイトに戻るだけですむ事になりました。

“MATLAB を使用することによって、7年から10年前に行っていたことの3倍の事を行うことができるようになりました。” と Dr. Lott は語ります。”現在では2,3人が数日間でサイトのセットアップを行い、問題が検知された際にだけ3個から5個のケースを持ってサイトに戻ればよいようになりました。”

YarCom のエンジニアは当初 Instrument Control Toolbox™ と Data Aquisition Toolbox™ を刺激応答のテストのセットアップに使用していました。 Data Aquisition Toolbox をデータ収集機器を介した受信機のIFとAFのスペクトラムの信号のサンプリングに使用し、 Instrument Control Toolbox を全体の RF スペクトラムのサンプリングに使用していました。 Control stimulus 送受信機は MATLAB のシリアルポートコマンドを使用していました。 “MATLAB のツールの組み合わせでRF、IF、AF を1つのソフトウェアの操作と解析プラットフォームで測定出来ました。”

Instrument Control Toolbox を使用して、YarCom はアジレント社のESA-E 440xB スペクトラムアナライザファミリのカスタムスクリプトを迅速に書き、一過性のノイズと干渉を観測することができます。アナライザーとそのスクリプトを使用し、GPIB バスを介したデータ伝送速度を最少化する、アナライザ内の最速の値の書式により1秒間に25回、 1024ポイントの観測を行うことが出来ます。

次に Lott と彼のチームは Communications Toolbox™、Statistics and Machine Learning Toolbox™、Signal Processing Toolbox™ を使用して収集したデータの解析と干渉の特定を行いました。 Mapping Toolbox もレポート結果を地理的に解釈したり、干渉の発生元の場所の特定を行うのに役立ちました。

YarCom は MATLAB Web Server を使用して連続的に更新される結果を内部のWebサイトに表示しています。問題が発生した場合には MATLAB から即座にメールによる警告が発信されます。

YarCom は作戦成功基準の臨界確率の定量化方法を開発することにより、このプロジェクトの別のメリットを見いだしました。 MATLAB 内で3-Dイメージで実現された”Lott プロット”は期待信号値と測定されたノイズ確率の比較から確率密度関数を示しています。 Integrated Engineering Concept Inc への下請け契約を行い、YarCom は引き続き国防省の Signal to Noise Enhancement Program(SNEP)に関わっています。

結果

  • データ計測自動化による年単位から月単位の作業量の減少. 国防省の業者は10年以上の間、アプリケーションのごく一部分しか自動化出来ていませんでした。 MATLAB を使用することにより、YarComは計測機能を自動化し、ほとんどの解析を9ヶ月以内で終えることが出来ました。
  • 重要なフィールドデータ収集の自動化. YarCom チームは重要なデータの収集に出かける際に大きな装備を置いて行くことが出来ます。大量のデータを短時間で収集出来るため、短期間の解析から 季節を跨ぐ傾向分析まで扱うことが出来ます。これにより、今までは見ることが出来なかった緩やかな現象の傾向を特定することが出来ます。我々の顧客に対 し、推量や予想でなく、作戦の決定において具体的な数字を提供することが出来ます。
  • 何千ドルもの展開コスト削減. Dr. Lott は“今では計測機器1台と GPIB 制御のスイッチ、フィルター、ノート PC に MATLAB をインストールして持って行けばよいようになりました。これによって一回出かける毎に何千ドルかを節約することが出来ます。”と語っています。