キヤノン株式会社 電子写真技術開発センター様

xPC Target/Simulink による制御モデルをリアルタイム解析

課題

制御モデルのリアルタイム解析システムの構築

ソリューション

xPC Targetを利用して制御モデルをリアルタイムに解析

結果

  • これまで外注していたシステムを社内で早期に構築
  • Simulink モデルを使用した制御アルゴリズム検討により、機械の試作を省いて開発を効率化
  • 複数拠点にMATLABを導入することで、スムーズにモデルを開発、共有

事業内容

キヤノン株式会社は1937年にカメラメーカーとして創業し、現在ではカメラのみならずプリンタ等のコンピュータ周辺機器、 複写機等のオフィスイメージング機器、半導体露光装置等の光学機器に事業を多角化し、 フォーチュン誌「世界で最も尊敬される企業2007」で世界46位にランクインするグローバルに活躍する企業です。

Canon image 1

MathWorks 社の MATLAB® プロダクトファミリは、世界で最も広く利用されている制御システム設計支援ツールです。

日本国内でもものづくりを代表する企業で利用され、制御系設計ツールのスタンダードになっています。

今回はキヤノン株式会社電子写真技術開発センター様の事例をご紹介させていただきます。

MATLAB/Simulink® のご利用状況について、キヤノン株式会社電子写真技術開発センター伊藤めぐみ様にお答えいただきました。

インタビュー

1:事業所紹介

伊藤様がご所属の「電子写真技術開発センター」の業務をご紹介ください。

キヤノン伊藤様: 電子写真技術開発センターでは、複写機およびレーザビームプリンタの要素技術の研究と開発を行なっています。

その中で私は、複写機の高画質化、高安定化、高速化に向けた画像制御技術の開発に携わっています。

現在のご業務に携わってどれくらいですか?

キヤノン伊藤様: 現在の業務は3年目になります。それまではシミュレーションを用いた複写機の物理解析を行なっていました。

2:MATLAB の使用方法

現在のご業務の中で、MATLAB 製品をどのようにご利用いただいていますか?

キヤノン伊藤様: 装置内の信号の入出力を xPC Target(xPC TargetBox®*)を用いて行い、Simulink で作成した制御モデルをリアルタイムに動かして検討しています。

また、Simulink で作成した制御モデルをシミュレーションすることで制御アルゴリズムの検討を行なっています。

3:MATLAB 初期導入時の習得方法

今回、MATLAB/Simulink/xPC Target をお選びいただいたきっかけは何ですか?

キヤノン伊藤様: 他社製品と MATLAB 製品の両方を使ったことがある方にお話を聞き、私の業務には MATLAB 製品が良いと薦めてくださったのがきっかけです。

特に画像などの大容量データを取り扱うことが多いため、大容量データの演算や解析に強い MATLAB 製品を選びました。

また社内でいくつかの MATLAB 研修があったことも大きなポイントでした。

導入後、どのように MATLAB を習得されましたか?

キヤノン伊藤様: MATLAB 製品の導入後は、サイバネットシステムの方が講師をしてくださる社内研修やサイバネットシステム主催の研修やセミナーを受講しました。

業務に入った最初の頃は研修やセミナーで使用したテキストで勉強しました。

私の場合、関連書籍などをたくさん購入して一冊ずつ読んでいくというより、わからないことを検索するといった使い方をしていました。

そのほか、業務で使いそうな技術の基本的なところから問題を解いていく感覚で技術を習得しました。

弊社の技術サポートはご利用いただきましたか?

キヤノン伊藤様: 最初はメールと電話の両方の技術サポートを利用させていただきました。

ただ、メールだと直ぐに回答がいただけなかったり、質問をうまく伝えられなかったりするため、電話でお聞きすることが多かったと思います。

その場合もご回答は、後で読み返して確認することができるようメールでいただくようにしていました。

私は現在の業務に携わるまでMATLAB製品をほとんど利用したことが無く、分からないことが多かったため、技術サポートはとても助かりました。

実運用までどれくらいの時間が必要でしたか?

キヤノン伊藤様: MATLAB/Simulink は、事例も多くマニュアルや書籍も豊富に揃っていたため、比較的速く最初のモデルができたと思います。

その中でも苦労したのは、ユーザ定義 Block である S-Function の使いこなし(動作や記述方法など)の部分です。

この Sfunction に関しては研修がとても参考になりました。

一方、xPC Target (xPC TargetBox*)はマニュアル類や事例などが少なかったため苦労しました。

ここでは技術サポートをよく利用させていただきました。

xPC Target(xPC TargetBox*)の場合は、専任の技術の方がいらっしゃったので、その方に直接お電話したり、メールしたりして教えていただきました。

直接担当の方に連絡できたことですぐに適切な回答をいただくことができ、大変助かりました。

最初のモデルは3ヶ月くらいで作成しました。

セットアップ例

xPC Target を用いてラップトップPCをホストコンピュータとし、 シングルボードをリアルタイムターゲットとして使用したプロトタイピングのセットアップ例。

モデル例

Simulink で作成され、ターゲットPC上で実行される リアルタイムアプリケーションに変換された磁気浮上モデル(左)とリアルタイム信号の表示(右)。

リアルタイムラピッドプロトタイピングおよび PC ハードウェアを用いた HIL シミュレーションの実行

リアルタイムラピッドプロトタイピングおよび PC ハードウェアを用いた HIL シミュレーションの実行

セットアップ例

xPC Target を用いてラップトップPCをホストコンピュータとし、 シングルボードをリアルタイムターゲットとして使用したプロトタイピングのセットアップ例。

xPC Target を用いてラップトップPCをホストコンピュータとし、 シングルボードをリアルタイムターゲットとして使用したプロトタイピングのセットアップ例。

モデル例

Simulink で作成され、ターゲットPC上で実行される リアルタイムアプリケーションに変換された磁気浮上モデル(左)とリアルタイム信号の表示(右)。

Simulink で作成され、ターゲットPC上で実行される リアルタイムアプリケーションに変換された磁気浮上モデル(左)とリアルタイム信号の表示(右)。

*上記は参考モデルでありキヤノン株式会社でのモデルではありません。

4:MATLAB の利用頻度

現在どれくらいの頻度でご利用いただいいていますか?

キヤノン伊藤様: 現在、Simulink・xPC Target(xPC TargetBox*)を週3日以上使用しています。

5:MATLAB 導入後の効果

業務に MATLAB 製品をご利用いただいて良かった点は何ですか?

キヤノン伊藤様: 今回、Simulink や xPC Target(xPC TargetBox*)を用いることで、装置内の信号を取得し、外部からリアルタイム制御を行うシステムを構築することができました。

これまで外部に発注していた部分を比較的速く自分達で構築できたことを評価しています。

また、Simulink モデルによる制御アルゴリズム検討など、機械を試作することなく検討できるため、開発の効率化が図れることも利点です。

現在の業務では複数の拠点と共同で検討を行なっていますので、同じ MATLAB 環境があれば各拠点で作成したモデルを別の拠点で動かすことができ、とても便利でした。さらに豊富なツールボックス群も役立っています。制御系のツールボックス以外にも、画像処理系のツールボックスなど他の業務に使えるツールボックスがあるのも良かったですね。

個人的に良かったと思われる点は何ですか?

キヤノン伊藤様: 個人的には、きめ細やかな教育サービスが良かったですね。

社内研修や技術サポートなどで質問に丁寧に答えていただいたことで、より早く習得できたと思います。

特に xPC Target(xPC TargetBox*)は、マニュアルなどが少なかったため、専任の技術の方に直接お聞きできる環境が持てたことはとても評価しています。

また周りに MATLAB 製品を使っている人がいましたので、気軽に質問や相談などができ、MATLAB 製品を導入して良かったと思っています。

MATLAB関連書籍例 より充実した情報提供を図っています。

MATLAB関連書籍例
より充実した情報提供を図っています。

6:今後の要望

MATLAB 製品に対してご要望等がありますか?

キヤノン伊藤様: やはり、今後さらに研修やマニュアル類の充実化を図っていただきたいと思います。

以上です。貴重なご意見をどうもありがとうございました。

*xPC TargetBox は廃番となっております。xPC TargetBox に関する詳細はお問い合わせください。

上記の内容は、2007 年 12 月 5 日時点にサイバネットシステム株式会社サイトに掲載されたものを、関係者の許可を受けて、移管したものです。